『中二病でも恋がしたい!』を全肯定するOP『Sparkling Daydream』とED『INSIDE IDENTITY』
この作品は「中二病」っていう痛々しい、たいていの人にとってはもういまさら触れられたくないものを扱う。
こんなの見る前から地雷でしょ。特にこんなサイトを見にくるような人にとっちゃあね!でもそれが地雷じゃない人はこのアニメ観てもそんなに面白くないよな?っていう大いなる矛盾!
そこを、このオープニング曲と映像、エンディング曲と映像のカッコ良さが救っているのですよ!!!
本編でも突然に本格ファンタジーバトル物かよ!っていうさすがの京アニな気合いの入った映像になるんですけど、まずはこのオープニングから。
いくつかポイントになるショットがあるのでピックアップしていきます。
1.イントロ、光が明滅して画面全体が光で埋まったあと、
「Let's look for sparkling daydream...」♪
水平線から雲がサーっと流れていく。水平線を縦になるまで回して回し過ぎたのをちょっと戻す。この雲の流れるスピードという雲と青空のバランスといい、ちょっと戻すところといい、このセンス!
それをタイトルが引いていって文字の塗り部分に入っている。
歌が始まってるが、まだタイトル表示。文字に少し動きがあるとはいえ結構ここまで長い。
タイトルがぐーっとアップになっていって文字の塗り部分から映像が見える。
2.漁港の岸壁で佇むヒロインの六花(りっか)。
「気になる」♪
振り向く六花。この動き。
ここから各キャラの高速紹介映像に。
3.画面の右半分だけ使って斜め後ろから六花をちょっと遠い位置から望遠で撮影、そのカメラが高速で回り込む。左半分は真っ白。
次に左半分画面で公園の遊具に座ってコンビニおにぎりを食べてるらしき六花。右半分にクレジット。
また画面の右半分だけ使ってさっきの続きで六花をカメラが回り込むのと左半分画面でおにぎりを食べてる六花の繰り返しを都合3セット、
今度は教室で弁当に入っているトマトを見て躊躇する六花。
まだ画面の右半分だけ使っての回り込みが続く。左半分は真っ白。
3セット目の回り込みで、左側にはローマ字タイトル。
トマトを見て嫌な顔をする六花。
……ここまでが六花の紹介シーン。ここの六花は孤独でトマト食べられなくて残念な感じ。
次は右画面で女の子の膝上から腕組みしてるところまでが見えるショット。
切り替わって左画面でチアリーディングする丹生谷 森夏(にぶたに しんか)=モリサマー。
くみん先輩は枕を持ってダンス。
長い髪を武器にして振り回す活発な凸守(でこもり)。困った顔の凸守。そして腕を胸の前にしてダンス。
……主要女性キャラたちの紹介が終わって、
4.
「後に引けないほど」♪
教室で居残り勉強する六花と、それを見守る主人公の富樫 勇太(とがし ゆうた)。
「惹かれ合う恋」♪
次のシーンは六花の姉の十花(とおか)。暗い部屋で不穏な感じ。
「もう」♪
画面右半分で、なにかに座っている六花のショット。
切り替わって画面左半分で、勇太が自転車を漕いでいる。
「始まってた」♪
座っている六花のショット。勇太の自転車のショットを見た後だと、この座り方は明らかに勇太の自転車の後ろに乗っているポーズだとわかるのだが、しかし六花の方は移動していない。表情はちょっと曇っている。
勇太の中二病ノートが映って、
座っている六花は、勇太の進む方向と逆を向いて、
勇太が自転車をちょっとだけ加速。
六花は完全に勇太の進む方向から見て後ろを向く。
……っていう一連のシーン。これがね。この後に引けない恋が始まってる六花の心情がね、画面をわざと半分しか使ってこなかった演出が、これをやるためだったのか!ってわけなんですよ!
5.そしていよいよサビ。
「夢ならたくさんみた」♪
六花が両手の人差し指をぐるぐる回す。2画面でインパクト2倍。誰でも簡単に踊ってみたが出来そうだが実際は結構難しい。
6.
「醒めたままでも」♪
踏切をみんなで渡るショット。画面の右左でちょっと時間軸が違う。のを挟んで、
「まだ会いたい」♪
再び六花の紹介ショット。今度は動きがある。六花は別に大人しいってわけじゃなくてもちろんバトルもしますよ!
体操服ブルマ、スク水、ゴスロリ、チア服。いいんだけど、チア服は森夏との対比もあって、さっきとは別の方向性の残念さが微妙に漂う。
「君がそうさせた 」♪
2画面それぞれで振り返り去っていく六花。
右はちょっと微笑んで歩き方も軽やか、左は瞬きしてさらに目を瞑って傘で隠れる。この乙女心の二面性よ!
7.
「恋は欲張りだね」♪
きめら(猫)のあくび。
眼帯を鏡写しにして鏡の位置を移動させていくと♡マークに。これはもうなんでもハートマークにしてしまうやつやん。
これははじめの水平線を映した映像と同じ処理。
8.
「飛び跳ねそうな心の」♪
踊る六花のお尻。ここも同じ映像を2画面でインパクトでかい。
9.
「ゆくままにゆこうよ」♪
女性キャラたちが右画面の制服姿から左画面で浜に出て水着に。気持ちが開放されてますよ!
10.
「理想も妄想も現実も」♪
「全て君を軸に」♪
主要キャラたちと主要脇役たちが一通り登場。
「廻る」♪
在りし日の六花たちの家族。
このショットがあった上での、、、
11.
「新しい」♪
画面右半分で後ろ姿の勇太。左手に注目。
次に画面左半分で後ろ姿の六花。右手をさっきの勇太の手の方に伸ばしている。
もう一回、勇太。明らかに手を繋いでるんだけど、そこは画面から切れてて見えない。
都合3回繰り返し。
これも画面が左右に分かれてるからこその演出!
「世界へ」♪
星空を見上げる2人。
12.
くみん先輩、六花、凸森のショットが入ってから、踊る六花。決めポーズ。
・・・ここまで。動きと画面を半分だけ使うレイアウトのセンス!素晴らしいっしょ!
「夢ならたくさんみた」っていう歌詞がサビにくるこの曲の素晴らしさと合わせて最高っしょ!
以上、映像の解説は本放送の第3話までのオープニングアニメに沿ってます。
第4話からは絵とクレジットを一方にほぼ固定する演出になってんですけど、初期版(ディレクターズカット版)の方がいいよね。
☆おまけ☆
聖地巡礼してる人たちが、かなり場所を特定してます。下のサイトはオープニング映像だけをまとめてくれてて見やすいです。
ぶらり聖地巡礼の旅 中二病でも恋がしたい!【 オープニング 】
続いてエンディングテーマ。
曲のドライブ感が素晴らしいです!
そして、もう中二病のままでいいじゃないか!ってなってしまいそうなクオリティの高い演出が全開。
もっともアーティストのMVってそういうのが普通なので別に間違っちゃあいない。
林檎を弾丸が撃ち抜くショット、めっちゃカッコいいですよ!
さらにそこでインサートされるのが、壁に持たれかかって座り込む森夏の扇情的なショット。指で作るハートマークもいい!このチョイスがポイント高い!ここはやっぱ森夏だよな。その前の くみん先輩はこれといったポーズをしてくれてないので余計にポイント高い!
オープニング、エンディングともに見所のある素晴らしい出来です!
本編も意外なくらい実に見事な正統派ラブコメですよ!
●主題歌DATA
オープニング曲
『Sparkling Daydream』 ZAQ
作詞・作曲・編曲:ZAQ
オープニングアニメーション
絵コンテ・演出:石原立也
作画監督:池田和美
原画:北之原孝將、坂本一也、石立太一、内藤 直、澤 真平、中原公平、村山正直、髙橋真梨子、牧田昌也、牟田亮平、佐藤達也、山村卓也、藤井由美、太田 稔
動画検査:中野恵美
色指定:竹田明代
特殊効果:三浦理奈
背景担当:篠原睦雄
撮影担当:山本 倫
エンディング曲
『INSIDE IDENTITY』 Black Raison d'être(小鳥遊六花、丹生谷森夏、五月七日くみん、凸守早苗)
作詞・作曲・編曲:ZAQ
エンディングアニメーション
絵コンテ・演出:山田尚子
作画監督:池田和美
原画:浦田芳憲、丸木宣明、岩﨑菜美、吉村知子、藤田春香
動画検査:中野恵美
色指定:竹田明代
特殊効果:三浦理奈
背景担当:篠原睦雄
撮影担当:山本 倫
●テレビアニメ『中二病でも恋がしたい!』DATA
2012年10月~12月
アニメーション制作:京都アニメーション