青春アニソン部

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美しく優しく眩しく光る『色づく世界の明日から』オープニング曲『17才』

17才(期間生産限定アニメ盤)(Blu-ray Disc付)

17才(期間生産限定アニメ盤)(Blu-ray Disc付)  

『幼い頃に色覚を失ってしまった、魔法使い一族の少女・月白瞳美。祭りの夜、彼女は祖母の琥珀から「高校2年生の私に会いに行きなさい」と告げられ、魔法で60年前の過去へと飛ばされる。 』

・・・って公式のあらすじ。

 

ここあとは微妙にネタバレを書きます。

このアニメがどんな作品なのかをま説明していきますね。一切そんなもんは読みたくないって人は、とりあえずアマゾンプライムで見ましょう!

第一話 キミノイクベキトコロ

第一話 キミノイクベキトコロ

  • メディア: Prime Video
 

 

ということで、こっからほんの少しだけネタバレしますね。

 


このあらすじで、
過去の世界に行くってことは、
そこで出会いがあって、ちょっと恋愛とかもあって、ラストではお別れするんでしょ。


だいたいわかるよそんなの観なくても。


そいでもって、そんなん絶対泣くやつやん。あかんやつやん!


こんなの観る前から、最後は泣かせにくるってわかるヤツやん。アカンよそれは。それはアカン、、、。アカンというとるのに、、、

 


まんまと号泣ですよ!!!

 


キャラ配置を見たらもうこの組み合わせでこういう展開してこうなるなっていうのが、完全に予測できてしまうテンプレな作りで、期待を裏切らない!

 

 

さらにあらかじめ言っておくと、これ、魔法とか出てくる割に、ちょっと地味な物語なんですよね。っていうか、ほぼ何も起こらない。

魔法写真美術部の活動とか、せっかく合宿行くのに、なんのサービスショットもないですからね。いったい男子陣はなにをやっているのか!

そういうのを期待する向きにはまったく応えてくれません。

むしろ尊いレベルでなにもない。

 

 

そしてこの話には、悪意がない。悪い人、嫌な奴が、ただの一人も出てこない。ものすごい窮地に追い込まれてしまう、ってこともない。

とってもメンタルに優しい作品。

 

主人公ヒロインの瞳美は、自分に自信がなくて、内気で、おどおどしてる。っていうのが、かなり自然な感じの演技なんですよね。過剰な演出もなく。

かといって、うじうじしてるってわけではなくて、ちゃんと行動出来る子なんだけど、でも自信のなさが表情に表れてる子。

 

そんなわけでこのアニメは、なんか派手なもの、刺激の強いものを求めてる筋にはまったく合わない作品。

 

対照的にメンタルが弱い人にとっては、とても安心して見れるアニメ。として素晴らしい出来。

 

もちろんそれだけじゃなくて、とにかく過剰に美しいのですよ。背景もキャラも。

 

ことに、「色づく」ってことがひとつテーマになってるので、色づいてない描写と色づいてる描写の変化が、すごいいいんですわ。

 

いまのアニメーション技術は本当にすごいな、と。

 


そんなアニメの主題歌が『17才』
第1話では、エンディングに使用。


曲が素晴らしいのはもちろん、この第1話エンディングのタイトルバックの映像もいいんですわ。

揺れる水面の光を描いてるんだと思うんだけど。これが始めはほぼモノクロ。ほとんど色彩がないところから、少しづつ少しづつ色づいてきて、鮮やかになっていく。これがとても美しい。

 

このエンディングアニメーションでは全然キャラクターが登場しない。そして色を失った主人公が色を取り戻す話?になるよね?ってのを表現することに振り切っている。

 

ほんと作品のテーマに対して清い。


この曲とこの美しい映像。本編でも背景もキャラも美しすぎるんですけど、このエンディングだけでもアート的に観る価値あるってレベル。

 

なかなか他で観たことがないことをやってます。

 


そして第2話からが、本来のオープニングアニメーション映像。


ありがたいことに公式で公開されてます。ノンクレジット版で歌詞入り。

 

youtu.be


いやもう、なんも言うことがない。ただ一言、最高ですね!


ほんっとこれ最高ですよ!

 

でもYouTubeで公開されてるノンクレジットよりも、アニメ各話のクレジット入ってる方が個人的には好き。

というのも、クレジットの入り方がまた美しいからなんですよね。

 

ということで以下、本編とセットで流れる通常テレビサイズでの解説です。

 

 

イントロの美しいコーラス。

絵筆。

そしてこの蛇口の美しさよ!本編でも何度か蛇口が出てくるんですけど、おそらく史上最高に水道の蛇口が美しいアニメじゃないすかね。

階段をちょっととぼとぼした感じで上る主人公ヒロインの瞳美(ひとみ)。

学校階段の窓から見える景色、学校の下駄箱。で作品タイトル。

空の雲。モノクロから色づく。タイトルも色を変える。

これがまた綺麗なんですよ。なんどもこの色あせた風景と色づいた風景を変化させたり、光がカメラに映り込んでるような撮影をしてるんですけど、それがすご美しいんですよね。

さっきの階段を上ってた瞳美が途中で立ち止まって振り返ったところで

 「たとえば今日までの僕が壊された夜」♪

橋の上で佇む瞳美。顔は下を向いて水面の方を見ている。

 

Aメロ前半の歌詞は、かなり精神的に追い込まれるようなことがあって落ち込んでる状態。
 「誰にも愛されていないと感じた夜」♪

さっきとは違う階段の途中で手すりにもたれるのはヒロインの相手役である唯翔(ゆいと)。最後に少し上の方を見るのはその次の歌詞への流れ。

 

Aメロ後半の歌詞では、そんな状態でも、こうであればなんとかなるってことを想っている。

 「ただまっすぐに透き通る明日を」♪

路面電車が遠くからゆっくり近づいてくる。そこへ助演ヒロインの琥珀(こはく)が右から左方向へ線路をわたっていく。電車が近づいていることに気づいて小走りになって線路を渡ったところでくるりと1回転。先の二人との動きの違い。この辺が性格。

 「信じることができたならば」♪

写真美術部、将(しょう)& あさぎ(あさぎ)の幼馴染先輩後輩の組み合わせ。

胡桃(くるみ)と千草(ちぐさ)のこちらも先輩と後輩でいつもの痴話げんか。

ここまではとてもゆっくりとした曲。


Bメロに入ると、そんな状態だったところからなにか眩しいものに出会った状態。少しテンションが上がる。

 「眩しくて 眩しすぎて」♪

映像は色鮮やかな惑星模様のガラス玉かなんかを吊り下げてる飾り物、さりげなくカメラを構える瞳美の影。屋根裏部屋の天窓、そこに反射する瞳美。

 「瞳 凝らしていた」♪

まほう屋の色とりどりな魔法の星砂。

 

Bメロ後半は、さらにテンションが上がって、

校舎の階段に夕日が差して、イーゼルもあるのでここは魔法写真美術部の部室。

 「君の心の色さえ」♪

逆光になってボーっとなにかを見つめる瞳美。この瞳美はまだなにもわかってない。

 「解らないから」♪

アコースティックギターが入って、あさぎが映してそうな花とてんとう虫。そして、花火が弾ける!!!

 

ここからサビ。
 「新しい季節と誰かのサイン」♪

右手に走る瞳美。ここで主題歌のクレジット。このタイミングといいタイトルの表示のでかさといい、この曲に対する力の入れようが見て取れます。

鬱屈を晴らすように曲調が明るくなって、まさに走り出す感じになる。

瞳美が走るのは早くはないけど、最後に少しだけスピード上がる。
 「見逃さないように僕らは走る」♪

見逃してしまうくらいの一瞬だけ琥珀おばあちゃんの星砂時計が映って、カメラのアップ、

カーブミラーに手前へ走ってくる唯翔が映る。さらに石垣の横を右手に走る。

琥珀は勢いよく明らかに瞳美とは違って運動ができる子の走りですね。右手から左手へ画面はやや斜め。

 「遠くても 遠くても」♪

教室、フラスコっぽいのはまほう屋の精製工程、夕方の景色、狭い階段の道がなにやら金色に光る。
 「それは祈りのように」♪

とおもったら、例の金色の魚です。まさにこの魚が祈りですよ。ここも美しい!

 「輝きを」♪

順光の瞳美が一瞬映って、もちろんこれは輝きを探してる瞳美。

花と蝶、色がないところから一気に鮮やかな朱色になって、

そしてそして、

 「探してる」♪

魔法写真美術勢ぞろい!!!

コレ、これですよ!これが探してた輝きってやつですよ!オレらが求めてやまない青春の像ですよ。

このシーンはほんとヤバい。

この一番いいところで、アニメーション制作P.A.WORKS のクレジット。まったく、一番いいところを持っていきやがって!めっちゃカッコいいじゃないですか!
 「雨上がり虹が架かるよ」♪

 


諦めていたところから、何かを見つけて、それが手に入りそうでつかめなくて、高揚感と同時に焦燥感。素晴らしいものを見つけたのに、急がないと、っていう焦り。
歌詞も、メロディも。それがくる。

ネガティブなところから、きっかけをつかんで高揚してくるんだけど、もどかしさで思わず走ってしまう。そんな曲。


ただ、このテレビサイズだと曲の最後がなんか妙な終わり方になってて、それがちょっと残念ですな。もうちょっといいところで切ってほしかったなぁ。

 

 

 

で、ここから先は、ネタバレです。

 

 

 

 

 

 


最終 第13話は特殊エンディング。というかオープニング曲なし。

 


物語終盤も終盤、絵本の朗読で、「世界にはこんなに色があったんだなぁ」ってところ。ここは文化祭で唯翔の絵の中にみんなが入った時の主線が色ついてる作画ですよ。この演出!

そして、ここで挿入歌的に『17才』のイントロ!

いつもの毎回毎回飛ばさずに、むしろ楽しみで、っていうか巻き戻してまで観てた聴いたイントロですよ。 この素晴らしく美しいコーラス。


最終話はここまでですでに泣いてるんですけど、これでダメ押しですよ。これがこの素晴らしい『17才』っていう曲の最高の使い方じゃないですか。

 


こっから先はセリフと映像、さらにちょっと控えめにだけど歌詞も。それぞれの意味が押し寄せる。

で、この最終話での 『17才』は、歌詞が2番なんですよ。


「わたしの色は何色かしら」で、泣く瞳美。そりゃ、泣く。こんなものを音読させられた日にゃあ泣くでしょそりゃ、って思ってこっちもまた一段と大粒の涙が出ると思ってたら、


裏表紙のカラフル過ぎるペンギン!


 「たとえば夕陽さえ色褪せてしまった日は」♪


なんてもんをもってくるんですか!もう涙で画面が見えねぇ。


 「誰かの勇気まで」♪


と、思う間もなく、暗転入ってその次のシーンですよ!!!!!


 「疑ってしまう日は 」♪


あー!!!あ、あ、、あ、っと思わず声を上げて、


 「また声もなく」♪


泣く!ああ、あ、そうか、そうなのか、そうなのかと。


号泣!号泣ですよ!


なんてこったい!!!


 「泣きそうな自分を」♪


こっから先は、茫然と口をあけて、なすすべもなく涙が流れるままにですわ。


登校シーン。


もうここまできたら明らかに、それぞれのお孫ちゃんたちだってわかりますね。


 「目を閉じて許してみて」♪


自分から声をかける瞳美。成長したねぇ。
この笑い方!
この2人は、瞳美のことを祖父母たちから聞いてたっていう可能性あるね。


 「いつまでも いつまででも」♪


懐かしいものを見るような目で見る瞳美。


 「笑っていたかった 」♪


「写真美術部」になってる。


 「君の涙の色さえ 」♪


自動ドア。
カメラを手に、部員たちに囲まれる瞳美。昔より人数多い。


 「気付かないから 」♪


「まほう写真美術部」に。


お孫ちゃんたちが、まほう屋にご来店。


 「変わらない景色と別れの後で 」♪


ここで琥珀おばあちゃんと一柳じいちゃん登場。


 「現在を振りほどいて僕らは走る 」♪


60年後の長崎の景色がインサートされ、公園に来てる瞳美。


 「階段を駆け上がり 」♪ 「汗で滲む未来 」♪ 「その窓を開けたなら 」♪
ここいらへんは瞳美のモノローグの方の音声を大きく拾ってて曲は小さめ。
大きな金色の魚が目の前を通っていき、


横顔でやや上の方をまっすぐ見つめる瞳美。


 「すべて今キャンバスになる 」♪


画面左側を向くのは過去を見ている演出なんだけど、それは唯翔がくれた色だからね。表情は明るく優しく。自分の意志でこれからの人生を作っていこうっていう気持ちが見て取れる。


この作品の主題は、恋愛じゃなくて、瞳美、と、唯翔、が、自分の彩り、を取り戻す話ですから。
この瞳美の表情でいいんですよ。ほんといい話でしたわ。

 

あとね、琥珀おばあちゃんと一柳さんのカットじゃなくて、あとの4人ないし5人と会ってるカットを一瞬入れればすむ話なのに、あえてそれを入れないっていうね。ずるいねぇ。

 

でもそれが入ると、ちょっとだけ意味変わるんですよね。なので、それはあえて観る人の想像にお任せします、っていうので良かったとオレは思いますですよね。

 

 

「色づく世界の明日から」篠原俊哉監督の密かな試み「『時間』と『人』の関係性にも触れられるのでは」 - エキサイトニュース

 

 

曲はこっからDメロ。

 「空はまた晴れてゆく」♪
暗転の後、エンディングクレジット。

このDメロがまた畳み掛けるような突き上げるようなメロディで、悲しい出来事からの再起になってる。もう歌詞はアップしませんけど、これが実にいい。ぜひこのストーリーの流れの中で聴いてください。


そしてこのタイトルバックの映像は第1話のエンディングと同じ。


はじめはほぼモノクロ。ほとんど色彩がないところから、少しづつ少しづつ色づいてきて、鮮やかになっていく。これがやっぱり美しい。これが青春の彩ですよ!


そして最後に金色の魚が登場、この魚、本編ではずっと1匹で登場してたと思うんだけど、それが少なくとも3匹泳いでますね。第1話のときは気にしてなかったけど、これもまた良い演出。


最後の最後にタイトル 『 色ずく世界の明日から』。


毎回毎回聴いて、その度に、感情を揺さぶられてきたきた主題歌を、最終話のエンディングに流す。それはいまは良くある手法なんですけど、この流し方は、見事。見事な最終回の主題歌と映像でした。

  

あらためて歌詞を見てみると、

1番は物語が始まる前の状況からいま進行してる状態。これを毎回流しておいて、
2番の歌詞は、過去を、別れを。

Dメロは、出来事があった先へ進むことを歌ってるんですよね。そしてサビの歌詞の意味! 

最終話を観てから聞くと!

それまでとは意味合いが変わります。ほんとこれ最終回にふさわしい!


よくぞ1番を12話まで使っておいて、2番からを最終話のエンディングで使えるように作ったな。こういうところが、素晴らしい作品になるゆえんですよ。

 

 

ハルカトミユキ インタビュー 新章突入へ――ニューシングル「17才」が予感させる、さらなる飛躍 | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス

 

 

●主題歌DATA

オープニング曲

※一話・十三話ではエンディングテーマとして使用

『17才』ハルカトミユキ

作詞:ハルカ
作曲:ミユキ
編曲:ハルカトミユキ、野村陽一郎

 Sony Music Associated Records

 

オープニングアニメーション(2話~12話)

OPディレクター:依田伸隆(10GAUGE) 
撮影/VFX:10GAUGE 小林敦史、松木大祐、泉 香織、弘津拓真

OPアニメーション協力:
作画演出:浅井義之
作画監督:秋山有希

原画:米本えり、松宮杏実、笠原由博、辻 彩夏、足立裕貴、西澤皓人、柳原一義、島﨑千尋
背景:秋山慎太郎、坂下祐太、鈴木くるみ
動画検査:高田 彩
色指定/仕上げ検査:中野尚美
Special Effects:村上正博
2D Works:加藤千恵
3D CGI:森重柚香

 

エンディングアニメーション(1話、13話) 

依田伸隆、小林敦史

 

●テレビアニメ『色づく世界の明日から』DATA

2018年10月~12月
アニメーション制作:P.A.WORKS  Progresslve Animation Studio

色づく世界の明日から Blu-ray BOX 1

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  • 発売日: 2019/02/02
  • メディア: Blu-ray